信濃國【飯島町】— 風は凛と、雅は静かに、時を超えて奏でる山里

飯島町|源氏と平家が息づく、時を超えたまほろばの山里
崖上・飯島郷には、清和源氏の流れを汲む武士が理と規律を築き、禅の精神とともに凛とした暮らしを根づかせました。
一方、崖下・田切郷では、平家の儚き栄華と朝廷の雅が残響となり、“御所権現”の言霊が今も静かに息づいています。
かつて争った源平の魂は、やがて共鳴へと昇華し、この郷を「共に生きし者たちのまほろば」へと変えたのです。
異なる二つの美意識は、時を超えて和の響きを漂わせ、今も私たちにその生きざまを問いかけています。
第一章|飯島ー個が舞う、静けさの調べ紡がれる山里
源氏の風に吹かれ、ひとひらの揚羽が舞う如し —
信濃の国ー上伊那郡・飯島郷。
かの地は、まほろば──凛とした源氏の誇りの面影、平家の栄華を秘めた残響。
遥かいにしえの二つの記憶は、今も確かに響き合っています。
古(いにしえ)のとき、清和源氏の流れを汲む由緒ある武士が、規律を重んじながらも、心の拠り所となるべくこの地に降り立ちました。
まるで一羽の胡蝶が、静けさの中で羽ばたくように、この地に舞い降りたのです。
その者は、飯島氏と呼ばれました。禅宗の教えのもとこの地に土着の覚悟のもと、民衆とともに歩むことを決意したのです。
「小さいながらも、民と共に理想の地を築くのじゃ。」
第二章|飯島ー源氏の魂、律する風となりて
「個が舞う」飯島郷ー
その地の人々は、日々の暮らしに感謝を重ね、自らをそして、他者を重んじてきたのです。
せわしない世の流れから身を置き、穏やかでありながらも、凛とした空気がこの地には流れています。
「幸い(さちわい)とは、なんぞよー」
第三章|田切ー雅の残響、封じられし幻の調べ
崖上には、清和源氏の風が吹きー
潔白と規律を重んじる、朝廷を守りぬいた武士たちの精神が、凛とした空気をまといながらこの地に根づいています。
さらに、遥か見渡せば、霧にかすむ谷間に、儚き平家の夢の跡、佇むいにしえの雅。この地に残った栄華の“余韻”が、静かに響き渡っているのです。
そのまさに、“結界”の際に建つ、一軒の古き蔵は、"まほろばの守人"なり。
かの地に立つと、いにしえの二つの魂が、そっと寄り添い、優しく身体を包み込んできます。そして、悠久の時を超えた今、者どもは静かに並び立つのです。
「世の移ろひ、まことに諸行無常なり。」
第四章|田切郷 — 月影の彼方、平安の面影が木魂する悠久の華
平家の栄華、朝廷の雅が静かに宿る ― 御所権現。そして、崖の下に目をやれば、そこは、儚き平家の夢の跡。
佇むはいにしえの雅の地——
まるで幻霧のなかに浮かぶ、静けき平穏の都。
かの谷には、平家の栄華が微かに留まっています。
朝廷の雅を宿した“御所権現”が、
永遠(とわ)の神夢を身に纏い、鎮まりのうちに息づいているのです。
その静けき佇まいは、まるで時を越えて、平安の世をそっと包むかのようです。
たとえ平家の命運は潰えようとも、この地に漂う“いにしえの夢の残響”は、いまも雅の響きを淡く奏でているのです。
──平安の面影をそっと伝え、いにしえの夢が漂う、まほろばの谷──。
まずは、湯を一服、味わうがよかろう——
そなたの言霊、たしかに聞き届けたまわん。
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