祈りOS × 日本国家OS|出雲 ― 国譲りの後、大国主はどこに位置づけられたのか
Ⅰ|大国主が「杵築に鎮まる」とは何か
『日本書紀』第九段一書第二では、顕露之事を皇孫が治め、神事・幽事を大己貴神が治めるという、治める事柄の分け方が示されます。一方、『出雲国造神賀詞』では、大穴持命が杵築宮に「静まり坐す」とあります。
二つの史料は、それぞれ異なる文脈で国譲り後の大国主を扱っています。『日本書紀』が治める事柄の分け方を示すのに対し、『出雲国造神賀詞』が具体的に示すのは、大穴持命が鎮まる場所としての杵築です。
ここから、国譲り後の大穴持命が、杵築という具体的な土地と結びつけて語られていることが確認できます。
Ⅱ|大穴持命をめぐる関係を、土地・神々・祭祀から見る
『出雲国造神賀詞』には、大穴持命自身が鎮まる場所、その和魂や関係する神々が置かれる場所、祭祀を担う主体が、それぞれ示されています。
大穴持命自身は杵築に鎮まり、その和魂や関係する神々は大和側にも置かれ、祭祀は出雲国造が担います。大穴持命をめぐる関係は、土地、神々の配置、祭祀の担い手という複数の形で語られています。
Ⅲ|国譲り後、大国主はどのような関係の中で語られたのか
Ⅰ・Ⅱで見てきたように、国譲り後の大国主・大穴持命をめぐっては、杵築に鎮まること、大和側に和魂や関係する神々が置かれること、出雲国造が祭祀を担うことが示されています。これらを並べて見ると、大国主をめぐる関係が、出雲の一地点だけではなく、複数の土地と神々、祭祀の担い手を結ぶ形で成り立っていることが見えてきます。
Ⅳ|『日本書紀』と『出雲国造神賀詞』を分けて、重ねて読む
『日本書紀』第九段一書第二では、顕露之事を皇孫が治め、神事・幽事を大己貴神が治めるという、治める事柄の分け方が示されます。
一方、『出雲国造神賀詞』には、大穴持命が鎮まる杵築、その和魂や関係する神々が置かれる大和側の土地、そして祭祀を担う出雲国造という、具体的な土地・神々・祭祀の関係が記されています。
Ⅴ|祈りOSから見る「土地に鎮まる」ということ
この節では、祈りOSのうち、神をめぐる記憶や意味が、祈り・物語・祭祀・作法を通して共有され、土地や人びととの関係の中で受け継がれていく働きに注目します。
『出雲国造神賀詞』では、大穴持命が杵築に鎮まると語られます。祈りOSの視点から見ると、「土地に鎮まる」という表現は、神が祭祀を通して特定の土地に位置を持ち、その土地と人びととの関係の中で語り継がれていく姿を考える手がかりになります。
祈りOSからは、杵築に鎮まる大穴持命が、出雲国造による祭祀を通して、土地との関係の中で受け継がれていく点に注目します。
Ⅵ|国家OSから見る大国主をめぐる関係の組み替え
国家OSでは、地域に根ざした神々や祭祀の担い手が、地域を越える秩序と結びつくとき、神々がどこに置かれ、誰が祭祀を担い、どのような関係がつくられるのかに注目します。
ここまで確認してきたように、大穴持命は杵築に鎮まり、その和魂や関係する神々は大和側にも置かれ、祭祀は出雲国造が担います。
また、『日本書紀』第九段一書第二では、顕露之事を皇孫が治め、神事・幽事を大己貴神が治めるという分け方が示されます。国家OSからは、こうした記述を分けて確認したうえで重ね、大国主をめぐる関係が、土地・神々・祭祀の担い手、そして神事・幽事という治める事柄の分け方を通して、地域を越える秩序の中でどのような位置を持つようになるのかを読みます。
※祈りOS、国家OS、国津、天津、幽事、顕事などの用語と構造定義は、用語と構造定義を参照してください。


